心に残る一言

元旦には、多くの浄土真宗のお寺で、元旦会の法要が行われます。お参りに来た人は、仏(阿弥陀如来)さまに手を合わせ、お念仏します。しかし、お願いごとはしません。仮に、仏さまにお願いごとをしても、一切かなえてくれません。逆に、仏さまの方から、そんな自分勝手なお願いごとばかりしていないで、正しい道を歩んでくれと、願ってくださるのです。
つまり、仏さまに手を合わすということは、私の願いをかなえてもらうためではなく、仏さまの願いを聞かせてもらうということなのです。もう少し分かりやすく言うと、仏さま(真実に目覚めた者)の教えを聞き、私の在り方を見つめるということなのです。
では、願いごとがある時は、どうしたらいいのでしょうか。そんな時も、仏さまに手を合わせ、南無阿弥陀仏とお念仏しましょう。しかし、例えば、仏さまに手を合わせ、お念仏したからといって、受験に合格するわけではありません。合格する人は合格するし、落ちる人は落ちます。けれど、合格しても落ちても、共に私の大切な人生だと受け止める力が与えられるのです。
仏さまに手を合わせ、お念仏する時、お金があっても無くても、健康でも病気でも、私の思うようになっても思うようにならなくても、みんな私の大切な人生だと受け止めて生きる、そんな世界に出遇わせてもらうことができるのです。
合掌

龍谷大学非常勤講師 小池秀章