「宗教の勉強をして、何の役に立つのですか?」
これは、私が宗門校(中学・高校)の宗教科(仏教・真宗を学ぶ科目)の教師をしていた時、たびたび生徒から受けた質問です。
なぜそのような質問が出るのかと言えば、公立の学校なら宗教の授業はないのに、自分たちだけ宗教の勉強をしなければならず、負担になる(試験もあり成績もつく)ので、役に立ちそうもないものを、学びたくないと思っているからです。
そんな時、私は、
「宗教は、役に立つから学ぶのではありません。宗教は、大切なのです!」
と答えていました。生徒は、宗教(仏教・真宗)を学ぶにしたがって、その意味を徐々に理解してくれたように思います。
仏教とは、文字通り、「仏の教え」です。仏とは、真実に目覚めた者という意味ですから、仏教とは、真実に目覚めた者の教えだと言えます。そして、その教えを聞いた者も真実に目覚めるので、「仏に成る教え」だとも言えます。
私たちは、真実を見ているか(ありのままに見ているか)というと、常に自己中心にしか見ていないのです。自分にとって、都合がいいか悪いか、役に立つか立たないか、というような視点で見ています。仏さまの教えを聞くと、そんな自分に気づかされます。
仏さまの教えを聞いて、大切なことを見失わないようにしたいものです。
合掌
龍谷大学非常勤講師 小池秀章