「雑草って何?」
と聞かれたら、何と答えますか?雑草とは、文字通り、「雑多な草」ということですが、説明するとなると、なかなか難しいと思います。ある雑草学を研究している方は、「未だ人間によって、その価値が認められていない草のことを、人間によって、その価値が認められるまでの間、雑草と呼ぶ」と、雑草を定義づけておられました。ですから、人間によって、その価値が認められれば、雑草ではないのです。今、雑草と呼んで、抜いて捨てている草が、煎じて飲んだら癌に効くと分かったら、それは雑草ではなく、薬草と呼ばれるようになるのです。草そのものは、全く変わっていないのに、人間がその価値を認めるかどうかで、雑草になったり、薬草になったりするのです。
害虫も同じです。害虫は、悪い虫ではありません。人間にとって、害がある虫が害虫であり、役に立つ虫が益虫なのです。
このように、多くのいのちを人間の都合で、役に立つか立たないかを判断し、傷つけてしまっているのです。だからといって、人間中心の見方を止めなければだめだ、と言っているのではありません。それは人間が生活するうえで、役に立つ見方なのです。
ただ、それが、いのちの見方として、正しい見方ではないということ、そして、人間中心の見方によって、多くのいのちを傷つけてしまっているということは、忘れないでいたいと思っています。
合掌
龍谷大学非常勤講師 小池 秀章