心に残る一言

あるタレントさん(三児の母)が、次のよぅな話をされていました。
「一人目の子どもが生まれた時、『一人で生きていける強い子に育てたい』と思った。しかし、三人の子育てをしていく中で、一人で子育ては出来ないって分かった。そして、『一人で生きていくんじやなくて、困ったら皆に頼って生きていける人になってほしい』と思った。『困ったら人に頼って生きていけるということは、頼れる友達がいるっていうことだし、困っている友達がいたら声をかけれるということだから、助け合って生きていける人になってほしい』と、今、思っている。」
「自立」という言葉があります。その直接的な意味は、「他の援助や支配を受けず自分の力で判断したり身を立てたりすること」(『広辞苑』)ですが、仏さまの教えを通して受け取ると、必ずしも、自分一人の力で生きるということを意味していないと受け取れます。人は決して一人で生きることは出来ません。自分以外の全てのものと繋がり合い、支え合って生きているのです(そのことを、仏教では「縁起」という言葉で教えてくださっています。◦そのような、自らを立たせてくれている存在に気づくことこそ、本当の自立であり、そこにお互いが支え合って生きる世界が開けてくるのです。
合掌
龍谷大学非常勤講師 小池秀章