2019年03月のおはなし
文:豊原大成 絵:小西恒光 出版:自照社出版
むかしむかし、おしゃかさまは、うずらとしてお生まれになり、森でたくさんのなかまとくらしていました。
そのちかくの村には、うずらとりのおとこがすんでいました。おとこは、うずらのなきごえのまねがとてもじょうずです。おとこがうずらのなきごえを出すと、うずらたちがあつまってきます。
おとこは、あみをかけて、いちどにたくさんのうずらをとるのです。おとこはそれを売ってくらしていました。
あるとき、おしゃかさまのうずらが、ほかのうずらたちにいいました。「このままでは、ぼくらはみなごろしになってしまう。こうしたらどうだろう。このつぎ、ぼくたちの上にあみがなげられたら、みんなであみの目に頭をいれて、いっせいにとびあがり、いばらのやぶにあみをすてるんだ」。
あくる日、うずらたちの上にあみがなげかけられたとき、うずらたちはあみの目に頭を入れて、いっせいにとびあがり、あみをいばらのやぶにひっかかったやぶにすてました。おとこはいばらのやぶにひっかかったあみをとりはずすのに、じかんがかかるばかりです。そのごも、まいにち、まいにち、おなじことがくりかえされ、うずらは一羽もとれません。
おとこは「あなたはまじめにはたらいているのですか」と、おくさんにしかられてしまいました。