2019年01月のおはなし
文:豊原大成 絵:小西恒光 出版:自照社出版
むかしむかし、おしゃかさまはさるの王さまとしてお生まれになり、たくさんのさるたちと、大きな大きな森の中で、くらしていました。
森の中には、おそろしいおにがすんでいたので、さるの王さまは「じゅうぶんちゅういして、くらすように」と、さるたちにおしえていました。
ある日のこと、さるたちは森のおくに、ハスの花がさいている、きれいな池をみつけ、水をのもうとしましたが、王さまのおしえをおもいだし、王さまがくるのをまっていました。
池にやってきた王さまは、池のまわりをあるきながら、池におりていく足あとはたくさんあるのに、池からあがってくる足あとは、ひとつもないことにきがつきました。
王さまは「池にはいったら、でてこられない」と、かんがえて、さるたちに水をのませませんでした。
すると、池の中から、おそろしいすがたのおにがでてきて、「はやく池にはいって、水をのめ」とさそいました。つかまえて、たべてしまうつもりだったのです。
さるの王さまは、池のふちにはえているあしをぬき、そのさきをすいめんにいれて、水をのむことをおしえました。
さるたちは、王さまのおしえのとおりにして、水をのみました。
おかげで、一ぴきも、おににつかまりませんでした。