2019年08月のおはなし
文:豊原大成 絵:小西恒光 出版:自照社出版
1ねんじゅうあついあついインドのカルカッタの町。
川むこうの大きなこうえんには、竹がすきまなくはえた竹やぶがあります。このこうえんの竹がびっしりとよりそうようにはえるのは、バラバラにはえると、まわりのあついくうきにやられてしまうからだそうです。
さて、むかしむかし、おしゃかさまは、ヒマラヤの山の木の王さまとして、お生まれになりました。
あるとき、ビシャモン天という神さまが、木ややぶに「みなさん、すきなところにおすみなさい」といいました。そこで、ヒマラヤの山の木の王さまは、「しんせきやなかまの木は、みんなあつまってちかくにすみ、なかよくくらそう」と、木たちにいいわたしました。
かしこい木たちは「そうだ、王様のいうとおりにしよう」と、ちかくにあつまってすみ、なかよくくらしはじめました。
おろかな木たちは「村のちかくや町のそばにすむほうが、人びとからおそなえものがたくさんもらえるよ」と、町や村のちかくにバラバラにすみました。インドでは、木に神さまがすんでいるとかんがえておそなえをするしゅうかんがあるからです。
ある日、ものすごい風がふきあれました。町や村のちかくにバラバラにすんでいた木たちは、どれもえだがおれ、ねがほりおこされてひっくりかえされてしまいました。
しかし、みんなであつまってすんでいた木たちは、一ぽんもたおれずにすみました。
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