「お釈迦さまの
ものがたりT」

えほんより


 中川 晟



野村 玲

発 行 所
本願寺出版社


 サルの橋

  お城の王さまと、家来たちは そのようすを、
 だまって みつめていました。
 
 五百ぴきのなかまが すっかりわたりおえるとどうじに、
 サル王のゆびが木のえだをはなれ そのからだは、
 谷ぞこめがけて、おちてゆきました。

 「すぐ、サルをたすけるのだ」
 
 じぶんたちの王さまが たすけられるのを
 五百ぴきのなかまたちは いきをつめて、みつめていました。

 「すまなかった・・・」
 
 お城の王さまは むねを、あつくあつくしながら そっと、
 目がしらを おぬぐいになりました。




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