「お釈迦さまの
ものがたりT」

えほんより


 中川 晟



野村 玲

発 行 所
本願寺出版社


  シビ王のほどこし

  「どうするのだ。 わたしは、もう、死にそうだぞ」
  タカは、シビ王をするどい目でにらみながらいいました。
  
  シビ王は、はっとしたように立ちあがりました。
  
  そして、いいました。
  「タカよ、わたしのからだを、ぜんぶさしあげるから
  どうぞ、ハトのいのちを、たすけてやっておくれ・・・」
  シビ王は、はかりにのってしずかに目をとじました。

  すると、ふしぎなことに
  それまで、びくともしなかったはかりがうごき
  ハトとおなじおもさをしるしたのです。

  シビ王をみつめるタカの目がやわらぎました。

  そして、いのちをなげだしたシビ王をまもるように
  その回りをゆっくりと、舞いました。




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